[黒い土の少女 / 검은 땅의 소녀와 2007年11月]
3月8日から始まった、韓国アートフィルムショーケースの一つ目の作品が
この「黒い土の少女」です。
今回ラインナップされた4作品のうち、2作品は既に見たことがあるのですが、
この映画についてはまったく知りませんでした。
主演のユ・ヨンミちゃんがKBSシットコムに出演中のオクヒだと知ったのも大分後でした。
ドラマの中のヨンミちゃんは「頭の回転が早く、物怖じしない、大人顔負けの賢い子」ですが、
この映画では長い台詞が少なく、戸惑ったと舞台挨拶で話してくれました。
炭鉱で働くお父さん。
そこにお母さんの影はありません。
死んでしまったのか。または出て行ってしまったのか・・・
その辺は語られないのですが、3歳ほどの知能しかない兄の世話を焼くのも
ヨンリム(ユ・ヨンミ)の仕事です。
じん肺炎だと診断され、仕事と続けられなくなったお父さんは魚屋をはじめますが、立ち退きに同意してもらったお金でやっと購入したトラックは
トング(パク・ヒョヌ)の行動から他の車にぶつける事故をおこしてしまいます。。。
お父さんは、子どもたちをすごくかわいがっています。
お父さんが帰ってきて、駆け寄る子ども達を一人ずつ抱きしめてくれるから、
最初は貧しくても、悲しい家族ではありません。
いつから「悲しい家族」になってしまったのか。
お父さんの仕事がうまくいかず、お酒をのみつづけ、食べるために盗みもするようになるヨンリムの寝顔にながれるピアノ練習曲に胸が痛みました。
私が一番印象に残るシーンは
いなくなってしまったトングを探し当て、ギュっとだきしめるヨンリムに対し、
お父さんはトングをたたきます・・・必死に止めるヨンリム・・・
そして3人で雪道の山を下ってゆくシーン。
たたいてしまったお父さんはトングに自分の上着を抜いて着せてやり、手をしっかりつなぐヨンリム。
長い下り坂です。
長い下り坂をゆっくりと、確実におりていくしかないのです。
決して覚めることのない現実。
終わりがないように見える、絶望が、夢だったらどんなにいいだろう。
そんなことを感じたシーンです。
黒い土に白い雪。ヨンリムの毛玉だらけの赤いセーター・・・水色のセーター・・・
そして家族のためにある決意をするヨンリム。
ラストシーンのこの表情にすべてをこめたヨンミちゃん。
やはりすごい女優さんです。
期間中にぜひごらんになってみてください。
2008年3月8日(土)~3月21日(金)
上映時間: 11:30/13:30/15:30/17:30/19:30
渋谷・シアター・イメージフォーラムにて
* 「黒い土の少女」公式HP
* ユ・ヨンミちゃん舞台挨拶レポはこちら
・黒い土の少女@映画生活
# by mgarden5923 | 2008-03-10 11:01 | か